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肺葉捻転

こんにちは、こんばんは

全力の暑さも徐々に和らぎ、過ごしやすい気候になってきましたね

それでもまだまだ暑いですが



さて今回は、先日病院で診たあるワンちゃんについてお話させていただきます



その子はトリミングなどで病院によく来る、健康状態も頻繁に確認していたような子でした



かつ年齢も7歳ほどでまだ大きな病気がよくあるような年齢でもありません


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しかしある日、突然呼吸が苦しそうで元気も食欲もないということでやってきました。


僕たちは呼吸が苦しいというような病態だとギョッとすることが多いです


それは呼吸器というのは生命に直結するような部分でもあり、救急医療の現場でも『まず気道確保!!』というようにあまり状態がよくないことが多いからです


幸いその子は一刻を争うほど、状態は悪くありませんでしたが重篤な病気があることは予想できました


そこで当日院内で詳細な検査を行った結果、レントゲンで肺に異常があることがわかりました



ちなみにどこか異常かわかりますか?仰向けでレントゲンを撮っています



                                   検査で見つかった異常な所見                                        

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健康な子


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下の健康な子と比べると上の子の「心臓の左上の部分が白っぽい」ように見えますよね

この部分に見えている部分は肺で、白く見えると異常所見です



健康な肺は下の子のように黒く見えます

この段階では病名がわかるほど詳しいことはわからず、まず一般的な肺炎の治療を行い様子を見ることとしました



しかしその翌日、状態が悪化することはありませんでしたが改善もそこまで認められず、すぐさま病態の更なる精査が必要と判断し、CTを検査センターで撮ってもらうこととし、検査結果を待ちました。


結果としてその子は肺葉捻転という病気で、今回のように迅速にCT検査を行い診断しなければ命にかかわるような病気でした。



肺葉捻転とは、その言葉の通り肺葉がねじれてしまうことで、呼吸がしずらくなってしまう病気です


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なぜこの病気が危ないかというと捻じれて死んでしまった肺が周りに影響を及ぼし、周りの肺もダメになってしまうからです

一刻も早く、捻じれて死んでしまった肺を取り除く必要があります


主に自然発症する病気で、いつ発生してもおかしくありません

肺炎などとレントゲン所見が似ているため、肺炎の治療のみをしていると急性に悪くなって死亡することもある病気です


今回は迅速にCT検査を行うことができ、すぐに手術に向けて準備を始めることができました


どういった手術になるかというと、捻じれた肺の一部を切除するという術式です



これだけ聞くと簡単な感じもしますが、実際には胸を開けて、心臓の真横にある肺を大血管の間をすり抜けて捻じれた肺だけを切除するというようなことをやっています



かなり怖い手術で、術前の準備も十分にする必要があり、その中の一つである輸血には今回多くの飼い主様のご友人の方からご協力の声を頂きました


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獣医としては輸血のことももちろんですが、そのほかの温かいその子への応援の言葉も大変ありがたいという言葉につきます

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長い手術でしたが、そのワンちゃんは何とか耐えてくれて一週間後には元気に帰っていきました

手術の模様、詳しいお話は一部グロテスクな部分があるので下部に載せておきます

もうその子はトリミングに通うほどに元気になり一件落着となりました

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飼い主様が一見大したことのないように思うようなことも今回のように大事なこともあります


おかしいかなと思ったらまず病院に相談いただき、いち早く重篤な病気を見つけてあげることが大事です


加えて定期的な検診も含め、今一度ペットの健康に留意していただけると幸いです。


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手術の一部始終です



















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分かりずらいかもしれませんが三角形の色がくすんだ部分が捻じれた肺です

その上にあるプリッとした部分が生きてる肺です

捻じれた肺のみを周りの部分を傷つけずに切り取ったようなイメージです

とても怖い手術でした









by marimovet | 2019-09-11 23:49 | Comments(0)