神経筋電気刺激装置

こんにちは。獣医師の伊藤です。


ご無沙汰しております。
ついに師走がやって来ましたね。


毎年師走は一瞬ですが、今年も12月に入り診察もバタバタと早そうな予感です。










さて、先日の神崎の先生のブログは読んでいただけたでしょうか?

そこにもありましたが、高齢や状態が悪くても麻酔をかけなくてはいけない状況は多々あります。





今日は、そんな時に役にたつ新しい診療機器を導入したので紹介させてください。


今回導入したのは、こちら。




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「神経筋電気刺激装置」です。
















通常、手術時の麻酔は、鎮痛薬を注射で入れて動物を眠らせ、その後気体の麻酔薬を嗅がせることで睡眠状態を維持します。
動物が起きそうな時は吸入する麻酔の量を増やし、眠り過ぎてしまっている時は吸入する麻酔の量を減らして対応します。




ところが吸入麻酔は濃度が上がると呼吸や循環を悪くする働きもあります。
吸入させる麻酔薬の量が多くなってしまうと、麻酔による事故のリスクが上がってしまうと言われており、高齢や状態の悪い子は注意が必要です。



吸入麻酔は適切な鎮痛薬を併用することでより低い濃度でも麻酔状態を維持できるため、適切に鎮痛薬を用いることで、吸入する麻酔薬の量をできるかぎり減らすことができ、麻酔リスクの高い動物にも安全に麻酔をかけられるようになります。












そこで使用するのが、神経筋刺激装置です。

神経のすぐそばに麻酔薬を注射することで、その神経の支配する部分の感覚を麻痺させる、「神経ブロック」という局所麻酔に使います。










針の先から電気が流れるようになっており、微弱な電流で神経を刺激しすることで目的の神経の周囲に確実に麻酔薬を届けることができるようになります。

人では無痛分娩などに使用するようです。











先日、早速神経筋刺激装置を用いて手術を行ったので、少しご紹介させてください。



17歳と高齢なダックスの肛門周囲にできた腫瘤の摘出手術です。








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お尻の左にしこりがあります。


この子はとても高齢のため、麻酔薬を使いすぎると麻酔から覚めにくくなってしまうと判断し、「硬膜外ブロック」という局所麻酔をすることにしました。






脊髄神経のすぐ近くに針を進め、硬膜という神経の膜の外に麻酔薬を注射します。








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こちらは使用している様子です。








入った麻酔薬は脊髄の周りに広がり、お腹から下の鎮痛作用を発揮します。



こうすることで、動物は痛みに強くなり、使用する吸入麻酔の量が減らせるのです。





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摘出中の様子です。





この子は17歳と高齢ながら、無事に手術を終えて退院することができました。










今回はお尻の手術でしたが、この機会は骨折の際の局所麻酔など、広く使うことができます。



今後は積極的に使用し、より多くの高齢の子により安全な麻酔をお届けられるようにしていきます。

















今年最後は、先日友人からもらったクワガタでお別れです。







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パプアキンイロクワガタのオスです。

やっぱり綺麗でかっこいいですね〜。




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こちらは女の子。脚の色が絶品ですね!






それでは。




伊藤







by marimovet | 2018-12-05 23:22 | Comments(0)