麻酔

こんにちは、こんばんは

すっかり寒くなって、暖房なしでは過ごせない季節です。

みなさんいかがお過ごしでしょうか?

動物は一般的に寒い方が体調が良いので、病院は最近落ち着いてきています。

ただ寒いと、お腹を壊したりだとか、膀胱炎になったりと冬によくある病気は多いですね。

ここら辺の感覚は、動物も人間も同じようです。

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こういった病気になると、たいてい大したことなくお薬を飲んでもらって治ったりするのですが、中にはたまたまいろいろな状況が重なって、重篤化してしまう子もいます。


先日も、重度の胃腸炎の子でなかなか症状が良化せず、検査のために麻酔下で内視鏡を行った子もいました。


こういったときによく飼い主様から相談されるのは

麻酔は怖いです

麻酔はかけたくないです

というお話をよくお聞きします。


その気持ちはすごく分かります。

自分も麻酔をかけられて無意識になって、知らない間に体をいじられるなんて想像しただけでも怖いです。

今日はそんな麻酔についてのお話です。

ちなみに先ほどお話しした重度胃腸炎の子は、僕たちもびっくりするくらい元気になって帰っていきました。



まずは麻酔ってそもそもなんだと思います?


麻酔というのは一時的に(可逆的に)、神経機能を低下させ、痛みを軽減したりとか、意識を低下させたりする医療行為のことです。

麻酔の中にも大まかに二種類あって、局所麻酔や全身麻酔があります。



局所麻酔は、皆さんがよく経験されるのは虫歯の治療のときとかですかね。

体の一部の神経機能を低下させる医療行為です。

他にも痛みを軽減させることによって、全身麻酔のリスクを減らしたりするために利用されたりもします。

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全身麻酔は、強い痛みを伴う、もしくは動物がどうしても動いてしまう時などに利用される麻酔で、意識を完全にもしくはほぼ完全に落とします。

皆さんが手術のときに怖いといわれる麻酔のほとんどはこちらの全身麻酔のことですよね。

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今回は、この全身麻酔についてもう少し深く掘り下げていきます。



麻酔のリスクのお話

麻酔でみなさんが怖いと言っているのは、麻酔に関して死ぬかもしれないというリスクがあるからですよね。

それがどれくらいの確率であるのか分かんないし、何か普段気をつけておけばよいかということもわからないし、分からないことは怖いですよね。

麻酔のリスクについてはASA分類というもので、5つのリスクに分けられています

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このASA分類によって、どれくらいの死亡率(手術の成功失敗に関係なく麻酔によるリスク)なのかが示されています。

この死亡率については様々な論文から、様々な結果が示されておりある論文では以下のような結果が示されています。

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避妊去勢などの多くの子が経験する手術に関しては、一番安全なClass1に分類されています。

Class1の子は、まったく健康な動物が該当し、様々な論文を見ていますと、大体500-1500頭に一頭、麻酔による事故で亡くなります。

これが高いかどうかは分かりませんが、人間が交通事故により死亡する事故も同じような確率で起こるらしく、大体そんな印象を持っていただければわかりやすいかなと思います。



麻酔のリスクを減らすために

麻酔のリスクは、先ほど述べました通り併発疾患があるかどうかで上がります。

病気になるかどうかは、多くの場合その子の特性によって決まるところがあるのでこのリスクを下げることは基本的にはありません。

ただ普段から気を付けていれば減らせるリスクもあります。


例えば体重や、年齢です。

体重については、やせてる方が麻酔は安全です。

年齢は、時間が経つにつれて上がってしまいますが手術の決断を迷って無駄に時間が流れてしまうこともよくあります。12歳以上と11歳以下では11歳以下の方がリスクは低いです。

病気を持っている子についても、手術前にコントロールできていればそこまで怖くはないので術前検査も重要になってきます。



麻酔をかけるべきかどうか

麻酔をかけるときは、必ず麻酔のリスクと手術が成功したときに得られる利益を秤にかけて考えます。


例えば、麻酔のリスクがかなり高い状態で得られる利益があまりない場合は麻酔をかけることをお勧めしませんが、麻酔のリスクがそんなに高くない状態で得られる利益が大きい場合は麻酔をかけての手術をお勧めしています。


他にも施設の設備なども大きく影響しています。

例えば、心臓の手術ではたくさんの高価な設備が必要ですし普通に病院ではまずできませんし、やるべき手術ではありません。実際は危ないのに、出来ると思わせて手術をやってしまうのは個人的には悪徳だと思います。

まりも動物病院では、うちでできると思った子についてはうちでやりますし、さすがに難しいと思った子については大学病院などの二次施設を紹介しています。



難しい話がかもしれませんが、大事なことはわからないことがあれば何でも気兼ねなく獣医師に質問することが重要です。



少なくともうちの先生たちは、そういった質問に答えるのが好きな先生ばかりなので気兼ねなく、むしろたくさん質問してください!

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寒い日がまだまだ続きますが、しっかり防寒して、健康に過ごしていただけると幸いであります。


by marimovet | 2018-12-01 22:06 | Comments(0)